多面体の不足角の合計は720°

立体の各頂点には角度があります。正確には不足角と呼ばれ、その頂点がどれだけ平らか、どれだけとがっているかを表します。なぜ凸多面体の不足角の合計は、必ずちょうど720°になるのでしょう? この記事は動画の文章版で、自分で回したり折りたたんだりできる図がついています。

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いびつな四面体と、その各頂点の不足角。

平らなら、不足角は0°です。立方体では、不足角は90°です。下の最後の例のように、とてもとがった頂点では、不足角は270°です。でも、どんな凸多面体でも、不足角を全部足すと720°になります。

平ら
立方体
とがった頂点

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平らな頂点、立方体の頂点、とてもとがった頂点と、それぞれの不足角。

不足角とは

まず、不足角とは何かを、はっきりさせましょう。多角形を並べて平面を敷き詰めるとき、内角の合計は360°にならなければなりません。でも、多角形で多面体の一部を作りたいなら、頂点を折り上げられるように、すき間を残す必要があります。つまり、内角の合計は360°より小さくなければなりません。360°にどれだけ足りないか。それが不足角です。

上:平面の敷き詰めでは、頂点のまわりの角の合計は360°です。下:多角形を1つ取り除くと、残ったすき間が不足角です。

下の図で、いくつかの頂点を折り上げて、自分で確かめてみてください。多角形がいくつあっても、頂点が折れて角になるちょうどそのときに、すき間が閉じます。

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頂点を選んで、折り上げてみてください。オレンジ色のすき間が不足角です。

では、なぜ多面体の不足角の合計は、720°になるのでしょう?

面を三角形に分ける

問題を簡単にするため、面はすべて三角形だとしましょう。どんな多角形も三角形に分けられるので、そう考えてかまいません。しかも、不足角は変わりません。各頂点に集まる角の合計は、同じままだからです。分割される角もありますが、合計は変わりません。

1つの頂点に集まる六角形1つと正方形2つを、2通りの方法で三角形に分けたもの。左では頂点の角はそのまま残り、右では分割されます。どちらの場合も、合計は300°のままです。

オイラーの公式:V - E + F = 2

ひとつ知っておきたいことがあります。どんな凸な立体でも、頂点の数Vから辺の数Eを引いて、面の数Fを足すと、2になります。この事実をご存じでなければ、球面に図形を描いて、簡単に確かめてみましょう。凸な立体なら、どれでも球面に描けます。注目するのは、V - E + Fの値です。

二つの面のあいだの辺を一本取り除くと、二つの面が一つになり、辺の数と面の数が、それぞれ一つ減ります。V - E + Fは変わりません。これを、面が一つだけになるまで続けられます。球全体をおおう面です。

球面がただ一つの面なので、残った辺は、球面に散らばった頂点どうしを、つないでいるだけです。こうした頂点は、残りとつながる辺と一緒に取り除けます。つまり、頂点を一つと、辺を一本取り除きます。ここでも、V - E + Fは変わりません。これを続けると、最後には頂点が一つだけ残ります。頂点が一つ、面が一つ、辺はゼロ。だから、V - E + F = 2です。

球面に描いた四面体。1ステップごとに、二つの面のあいだの辺を1本、または頂点を1つと、それを残りとつなぐ辺を取り除きます。V − E + F は一度も変わりません。

一度も変わらなかったので、V - E + Fは、ずっと2だったのです。これは、球面に描けるどの図形でも成り立ち、凸多面体は、どれも球面に描けます。

VEFV - E + F
正四面体4642
立方体81262
正十二面体2030122

三角形でできた立体

では、三角形だけでできた、凸な立体を考えましょう。V - E + F = 2であることは、もうわかっています。三角形の数、つまり面の数がFです。どの三角形にも辺が三本ありますが、それぞれの辺は、一つではなく、二つの三角形に属しています。だから辺の数は、面の数に3を掛けて、2で割ったものです。

\displaystyle E = \frac{3}{2}F

辺の数をV - E + F = 2に代入すると、次のようになります。

\displaystyle \begin{aligned} V - \frac{3}{2}F + F &= 2 \\ V - \frac{F}{2} &= 2 \\ V &= 2 + \frac{F}{2} \end{aligned}

したがって、頂点の数は、2に、面の数の半分を足したものです。これが成り立つのは、立体が三角形だけでできているときに限ることに注意してください。また、三角形の数は、奇数にはなりえないことも分かります。そうでなければ、辺や頂点の数が、整数になりません。

VEF
正四面体464
双三角錐596
正八面体6128
双五角錐71510
正二十面体123020
三角形でできた任意の立体2 + \frac{F}{2}\frac{3}{2}FF

不足角の合計は720°

では、三角形でできたこの立体の、不足角の合計はいくつでしょう? 各頂点の不足角が、360°から、そこに集まる内角を引いたものなら、合計は、頂点一つにつき360°から、すべての頂点の内角を引いたものです。

三角形の内角の和は180°なので、内角すべての合計は、180°に、三角形の数を掛けたものです。つまり、不足角の合計は、頂点一つにつき360°から、三角形一つにつき180°を引いたものです。

いびつな四面体(上)と、その4つの頂点を平らに開いたもの。スライダーを動かすと、折り上げて元の頂点に戻せます。同じ色で印をつけた3つの角は、1つの三角形の角なので、合計は180°です。4つの頂点のまわりには4 × 360°があり、そこから4つの三角形の分の4 × 180°を引きます。

頂点の数を、三角形の数で表す式V = 2 + \frac{F}{2}があったので、その式をここに代入すると、項がすべて打ち消しあって、2 × 360°だけが残ります。

\displaystyle \begin{aligned} &\text{不足角の合計} \\ &\quad = 360^\circ \times V - 180^\circ \times F \\ &\quad = 360^\circ \times \left(2 + \frac{F}{2}\right) - 180^\circ \times F \\ &\quad = 2 \times 360^\circ + 180^\circ \times F - 180^\circ \times F \\ &\quad = 2 \times 360^\circ \\ &\quad = 720^\circ \end{aligned}

よって、不足角の合計は720°です。

任意の多面体とアルキメデスの立体

三角形でどんな形も作れることは、もう示したので、この証明は、どんな面をもつ立体にも広げられます。そして、プラトンの立体やアルキメデスの立体のように、すべての頂点が同じなら、不足角は、頂点の数で割るだけで求められます。その逆もできます。

たとえば、あるアルキメデスの立体の頂点に、八角形、六角形、正方形が集まっているとわかれば、それらの内角の合計は345°なので、不足角は15°です。すると、頂点の数は、720 ÷ 15で、48個になります。

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六角柱のどの頂点にも、正方形2つと六角形1つが集まり、60°が残るので、頂点は720 ÷ 60 = 12個です。斜方切頂立方八面体は、どの頂点にも正方形、六角形、八角形が1つずつ集まり、15°が残るので、頂点は48個です。

自分で試してみよう

こうした立体を自分で試してみたい方のために、itch.ioで4D Builderの体験版を公開しています。主に4次元の図形で遊ぶためのものですが、サンドボックスでは3次元の多面体も作れるので、この記事で見たアイデアをぜひ試してみてください。

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