4次元の超立方体(正八胞体・テッセラクト)はどう折りたたまれるのか?

正八胞体の立方体を折りたたむとき、3次元の展開図はどうやって4次元の正八胞体になるのでしょう? 私たちがよく知っている回転を、あらためて丁寧に考えると、理解の助けになるかもしれません。

これは、正八胞体とその展開図を描いたものです。でも、展開図はどうやって正八胞体になるのでしょう?

ドラッグすると回転します。

4次元で回転する正八胞体と、その展開図の1つ。8つの立方体が3次元に並んでいます。

回転を単純にする

正八胞体を折るには4次元の回転が必要ですが、4次元空間は私たちにとってかなり抽象的です。でも抽象的でも、いずれわかるようになるものはたくさんあります。問題は、4次元で考えるのが難しすぎることではなく、回転を考えるのが簡単すぎることなのかもしれません。

子どものころ、数の足し算やかけ算は習いますが、物の回し方は習いません。誰でももう知っているからです。赤ちゃんが物をくるくる回しては、どう見えるか確かめて、回転を学んでいる姿を見かけます。でも、3次元の回転は直感的にわかるので、詳しく考えることはないかもしれません。数学を何年も勉強しても、この基本的な概念をあまり理解しないままということは、十分ありえます。

正八胞体は、正方形や立方体の仲間です。どれも辺の長さがすべて等しく、角はすべて直角です。角がすべて直角なので、それぞれの軸に沿って描くことができます。また、回転の勉強も、ひとまず軸と軸の間の90°回転だけに絞れます。

正方形、立方体、正八胞体。どの辺も、沿っている軸の色(x、y、z、w)で塗り分けています。

正方形を折りたたむ

まずは正方形を折りたたんでみましょう。2次元の画面で完全に見えるのは、これだけですから。正方形の展開図は、4本の線分です。今はすべてx軸上にあります。x軸とy軸は色で区別します。これはあとで役に立ちます。

もうひとつあとで役立つのは、これらの線を「x軸上にある」と考えるより、「y軸に垂直だ」と考えることです。

右側の線分を回転させると、x軸からy軸に変わるのがわかります。90°回転するたびに、x軸とy軸が入れ替わります。こうして図形全体が、すべてx軸上にある状態から、辺の半分がx軸上、もう半分がy軸上にある状態になります。

スライダーを動かすと、正方形の展開図が右側から1か所ずつ折りたたまれます。各辺は、沿っている軸の色で塗り分けています。

立方体の描き方

では、立方体に進みましょう。今度は3次元の図形ですが、画面は2次元なので、描き方がいくつかあります。

等角投影図で描くこともできます。3本の軸を120°ずつ離して描く方法です。あるいは透視図で描くこともできます。x軸とy軸は垂直のままで、z軸に沿って奥へ行くほど小さく見えます。

等角投影図では、正方形はどれもゆがみますが、少なくともみな同じ形に見えます。透視図では、手前と奥の正方形はゆがみませんが、ほかの4つの正方形は台形に見えます。

でもどちらの図でも、各軸に垂直な正方形の組を3つ見つけられるはずです。z軸に垂直な正方形なら、その辺はx軸とy軸に沿っているはずです。どちらの図でも、このような正方形の組が見えるはずです。同じように、y軸に垂直な正方形の組と、x軸に垂直な正方形の組も見えるはずです。

等角投影図
透視図
同じ立方体の等角投影図と透視図。軸を選ぶと、その軸に垂直な正方形の組が光ります。

立方体を折りたたむ

では、正方形がすべてxy平面上、つまりz軸に垂直な状態から始めるとどうなるか見てみましょう。ここでは、立方体の角をつくる3枚の正方形だけに注目します。

右側の正方形を折ります。この正方形と隣をつなぐ辺はy軸に沿っているので、この軸のまわりで折ります。なので、この回転ではy軸は変わりません。一方、x軸とz軸は、2次元のときと同じように入れ替わります。y方向を向いていた正方形の辺はそのままの向きですが、x軸に沿っていた辺は、今度はz軸に沿っています。

今度は、上の正方形のように、回転の軸になる辺がx軸に沿っている場合です。このときは、x軸に平行な辺はそのまま残り、y軸に平行だった辺は、回転してz軸に平行になります。この場合、ある辺が、さっき別の辺が回転していったのと同じ位置に向かって回転するので、折りたたむにつれて辺どうしがくっつきます。

等角投影図
透視図
右側の正方形をy軸に沿った辺のまわりで、上の正方形をx軸に沿った辺のまわりで折ってみてください。各正方形は、垂直な軸の色で塗り分けているので、右側の正方形はzからxに変わります。

4次元に進む前に、画面で見ているものについて少し考えてみましょう。私たちは3次元の世界に慣れすぎていて、脳がほとんど勝手に理解してくれるからです。

2次元の画像しか見慣れていない人が、これを理解しようとしていると想像してください。2次元の画像しか知らなければ、4枚の正方形が1つの角に集まるのは見たことがあっても、立方体のように3枚で1つの角に集まるのは、ありえないと思うかもしれません。等角投影図では、回転は、ひし形が少しずつゆがんで、向きの違うひし形になるように見えます。透視図では、2つの正方形が台形に変わっていくように見えるでしょう。でもそれは、3次元で起きていることを、2次元で見ているだけなのです。

正八胞体の描き方

では、4次元に進みましょう。ここでも、増えた軸の描き方にはいくつかの選択肢があります。

ここでも透視図が使えます。透視図では、立方体は大きな正方形の中の小さな正方形に見えました。同じように、正八胞体は大きな立方体の中の小さな立方体に見えます。

あるいは、また等角投影図を使うこともできます。2次元では、3本の軸を120°ずつ離して描きました。正と負の向きを含めれば、60°ずつです。今度は正と負の軸を45°ずつ離せば、4本の軸を2次元で表せます。すると正八胞体は、下の平面的な図のように見えます。ただしこの場合、90°離れた軸の組もできるので、すべての正方形が同じに見えるわけではありません。

別の方法として、4本の軸を3次元で表すこともできます。すべての軸をおよそ109°ずつ離した本当の等角投影図になり、立方体の等角投影図での正方形と同じように、どの立方体もゆがんで見えますが、すべて同じ形になります。実は、ふつうの等角投影図で立方体が六角形に見えるのと同じように、この図では正八胞体が菱形十二面体に見えます。

透視図

ドラッグすると回転します。

平面、軸の間隔45°
3次元、軸の間隔109°

ドラッグすると回転します。

1つの正八胞体の3通りの描き方。透視図、軸を45°ずつ離した平面的な図、そして4本の軸を3次元でおよそ109°ずつ離した図です。

正八胞体を折りたたむ

では、正八胞体の立方体を折りたたんでみましょう。ここでの立方体の辺は、最初はx、y、z方向を向いています。つまり、立方体全体がw軸に垂直です。

立方体が何かに垂直だというのは見慣れませんが、次元が1つ増えるとこうなるのです。平面では、正方形は何にも垂直になれませんでした。正方形が軸に垂直になるには、3つめの次元が必要でした。そして4つめの次元があれば、立方体も軸に垂直になれます。

注目したいのは、4次元では平面が平面に垂直になることもできる点です。だから、辺のまわりではなく、面全体のまわりで回転するのです。

こんなことに気づくと、わかりやすくなるかもしれません。2次元の多角形では、辺は図形全体の境界でしたが、3次元では、辺は図形の2つの部分が出会って折れ曲がる場所にすぎません。同じように、3次元では面が図形全体の境界でしたが、4次元では、面は図形の2つの部分が出会う場所にすぎず、折りたたむときの軸になります。

ここに、x軸方向に並んだ2つの立方体があります。どう折れるでしょう? 接している面のまわりで折れるはずです。その面の辺はy方向とz方向です。この面が変わらないように、この2つの軸はそのまま動きません。回転するのはx軸とw軸です。なので、2つめの立方体でx軸に沿っていた辺は、今度はw軸に沿うようになります。この立方体にはもうx方向を向く辺がないので、今はx軸に垂直です。そして、2つの立方体は別々の軸に垂直なので、互いに直角になっているとわかります。

さらに進んで、3つめの立方体を加えましょう。今度は1つめの隣にy軸方向に並べます。やはり接している面のまわりで折れますが、今度の面の辺はx方向とz方向です。なので、その軸は変わらず、回転するのはy軸とw軸です。この立方体のy方向の辺が回転してw方向の辺になると、3枚の正方形をつなげたときと同じように、いくつかの辺が同じ場所へ回転していき、折りたたむにつれて図形がつながります。ただし今回は、4本の辺がまるごと出会います。実際には、面全体が出会って、別の立方体の面とくっつくのです。

これで、この1本の辺のまわりに、3つの立方体が面どうしでつながりました。2次元では頂点のまわりに正方形を3枚集められませんが、3次元ならできます。同じように、3次元では辺のまわりに立方体を3つ集められません。でも4次元では、それができたのです。

でも、この角はまだ途中です。4つめの立方体を、今度は1つめにz軸方向でつなげましょう。これも、つながった面のまわりで折れます。その面の辺はx方向とy方向で動かないので、z軸とw軸が回転します。立方体のz方向の辺がw方向の辺になると、ここでもxz平面にあった面がxw平面へ折りたたまれ、別の立方体と出会います。実は今回は、2つの面が、すでに折りたたんだ2つの立方体と出会います。

ドラッグすると回転します。

各立方体を、1つめの立方体と共有する面のまわりで、4次元の方向へ折りたたんでみてください。各立方体は、垂直な軸の色で塗り分けています。最初はどれもw軸に垂直で、x方向の立方体は最後にx軸に垂直になります。ドラッグすると視点を回せます。

さて、正方形の各軸に正方形を1枚ずつつけて折りたたむと、立方体の角が1つできます。でも不思議なことに、角1つだけなのに立方体の半分で、同じ角と合わせると立方体全体になります。

同じように、ここでは立方体の各軸に立方体を1つずつつけて折りたたみました。これで、4つの立方体で正八胞体の角が1つできました。これは正八胞体の半分で、同じ角と組み合わせれば、正八胞体全体ができあがります。(上の図で「もう半分を表示」にチェックを入れると、それぞれの図形を完成させる、同じ形の角が見られます。)

4次元の世界をもっと

4次元で図形が折りたたまれるとはどういうことか、伝わったでしょうか。正八胞体で遊んでみたい方は、itch.ioでTesseract 261を無料でプレイできます。

でも、4次元の図形は正八胞体だけではありません。3次元にも、立方体のほかに4つの正多面体や、アルキメデスの立体、カタランの立体などがあるように、4次元にも面白い図形がまだたくさんあります。4Dビューアでそうした図形を調べたり展開したりできますし、itch.ioの4D Builderの体験版では、自分で図形を組み立てて折りたたんでみることもできます。

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